『おすすめのフリーゲーム教えて』
僕は高校時代の友人に、なんとなくLINEでそう聞いてみた。
彼とは社会人になってからも付き合いのある同級生だ。
何かゲームに関して相談したいことがあったら、真っ先に彼を頼る。
今回は新しいインディゲームをプレイしたくなったので、そんな質問を投げかけてみた。
しばらくすると、トーク画面に1つのリンクが貼られた。
Steam:ナツノカナタ
https://store.steampowered.com/app/1684660/_/?l=japanese
どうやら、女の子に指示を出して終末世界を探索するゲーム、らしい。
この手のジャンルのゲームは初めてで、ちゃんとクリアできるか不安もあったが、常日頃から「新しいことに挑戦する」というモットーを掲げる自分には、ちょうどいいコンテンツだったと思う。
そもそも僕はゲームプレイ自体、あまり経験が無い。
実家にいた頃は親の方針でゲームは自由にできなかったし、特にこれといった家庭用ゲーム機も持っていなかった。
そういうこともあって、社会人になって一人暮らしを始めたら、ゲーム機を買ったり様々なジャンルのゲームに手を出して、自分の知らない広く深い世界を体験したいと思っていたのだった。
そのような環境で育ったものだから、必然同級生が体験するようなことは全く経験がない。
「新しいことに挑戦する」といった、一見大雑把なモットーはここから来ている。
話を戻して。
ナツノカナタに対する最初の印象は、ザ・夏といったものだった。
ホームページを見ると、キービジュアルが目に入る。
草が生い茂る緑色と、深く澄んだ広い海、どこまでも透き通るような青い空と白い雲のコントラスト。
そしてフォルクスワーゲンタイプIIに似た古めかしい車の上に、制服を着た女の子がちょこんと座っている。
どこまでも夏の風景であると同時に、言い表すことのできない正体不明の寂しさ。
なるほど、彼のいった終末世界の探索といったキャッチコピーは言い得て妙だと思った。
そんなわけで、僕はナツノカナタをプレイしてみることにした。
まっさらな状態でゲームを楽しみたいので、ホームページの内容もあえて読まず、早々にゲームをダウンロードする。
ここから僕と少女の物語は始まったのだった。