このゲームは、プレイヤーが怪物を操作し、人間を襲撃するという逆ホラー的ゲームである。ゲームは2Dグラフィックで、自分は研究所から脱出する怪物として、ルートを探索し、人を喰らい、圧倒的な暴力で障害を破壊していく。このゲームの最大の魅力は？と聞か

このゲームは、プレイヤーが怪物を操作し、人間を襲撃するという逆ホラー的ゲームである。ゲームは2Dグラフィックで、自分は研究所から脱出する怪物として、ルートを探索し、人を喰らい、圧倒的な暴力で障害を破壊していく。

このゲームの最大の魅力は？と聞かれるなら、独創的な視点だと答えるだろう。通常、我々プレイヤーはホラゲで理不尽に追いかけられ、傷つけられる被害者を演じることが多い。しかしCARRIONでは逆に理不尽な恐怖を与える存在となるのだ（実際に人の近くで暴れ回ると悲鳴が聞こえる）。

怪物は俊敏な動きで壁や天井を這い回り、人間を驚かし、喰らい、施設を破壊することができる。移動で言えば、自分の身体が大きくなればなるほど、移動がもったりとしてくるのは面白い要素だ。身体が大きくなれば攻撃力も上がるが、攻撃を喰らいやすくなるし移動速度も落ちる。逆に身体を小さくすると俊敏になるがすぐにやられてしまうという駆け引きのような面も楽しめる。

グラフィックは美しいドットで描かれ、不気味な研究所の雰囲気をとても見事に創り出している。また、音楽も素晴らしく、怪物感を高める音楽と不気味な環境音がゲームへの没入感を一層深めてくれるのだ。

しかし、残念なことにCARRIONには短所も存在する。比較的単調であるということだ。パズル要素もあるのだが、すぐに解けてしまう程度の難易度だし、敵の種類も少なく、攻略性はほぼ無い。

また、ストーリーはほぼ無いようなものなので、自分が操作するクリーチャーが作り出されたバックグラウンドや目的が明確に示されないまま進行するのは、人によって違和感を覚えるかもしれない。

しかし、擁護するわけではないが、攻略性の無さやストーリーの薄さこそがCARRIONの楽しみでもあり、没入感をより高めている要素なのは忘れないでもらいたい。

そもそも人間の身勝手で生まれた怪物として圧倒的な暴力を振るっていくのだ。そこには”なぜ生まれたのか？”という問いはなく、生きるか死ぬかしかあり得ない。そこに難解なパズル要素やストーリーが介入してくると、途端に我々は現実世界へと戻ってしまい、せっかくの没入感が薄れてしまうことにもなると思わないだろうか？

まとめるとCARRIONはありそうでなかった逆ホラーと没入感をより深めるグラフィックや音楽で、ゲーム好きに新しい視点を提供する作品である。しかし、プレイの多様性やストーリーにおいて改善の余地があるため、すべての人にとって満足のいくものではないかもしれない。それでもなお、忍び寄る恐怖・破壊される恐怖を怪物目線で楽しみたいプレイヤーには一見の価値があるゲームだ。

怪物目線で蹂躙する逆ホラーゲーム