「流行っている格ゲー“スマブラ”」
ネットサーフィンをしていると【格ゲーが衰退した理由はこれやろ....】みたいな5chまとめをたまーに見かけます。まぁ実際衰退したかどうかとか、じゃあ衰退した理由はどうか、みたいな話は今回の本題ではないとして、よくこう言うテーマのなかで、
「でも、スマブラは流行ってるじゃん。」
「いやスマブラは格ゲーじゃねえだろ。あれはパーティーゲームだから。」
という掛け合いを見ます。
僕自身はどちらもそれなりにやりこんだので、その上でスマブラは格ゲー扱いでもいいくらいにゲーム性は近いとは思っているのですが、そもそも何故格ゲーと似通うゲーム性のスマブラが流行ったのでしょうか。
ということで両方ともそれなりにやり込んだ自分がなぜスマブラは流行り、格ゲーは流行らないのかを分析してみようと思います。
(スマブラは多数IPを抱える一大コンテンツなので、正直マーケティングパワーの差が格ゲーとスマブラが流行る流行らないのコアな差分だとは思いますが、今回はそこは取り扱わずゲーム性のみに注視します。)
格ゲーは一般的なアクションゲームと比べて”攻撃“が弱い
比較をする前にまず格ゲー側のゲーム性を知ってもらうと良いと思います。スマブラや他のアクションゲームを触れたことがある人は多いと思いますが、格ゲーについては知らない人も多いと思いますので。
一般的なアクションゲームやスマブラと比べると、格ゲーはかなり攻めが弱く作られています。逆を言えば守り(ガード)がかなり強いと言う特徴があります。
格ゲーのガードは反則的に硬い
詳細は説明しきれないので簡単にその要因を説明していくと多くの格ゲーは
後ろ入力=ガードであるため、下がって相手の攻撃をスカす動きが強い
ガードをし続けてもペナルティがほとんどない
ガード前後に隙がない
と言う特徴を持っていることが多いです。
1はいわば下がり得ということです。下がりきれなくてもガードになるし、下がりきれたら攻撃の後隙を殴れます。ボタンでガードするアクションゲームの場合、特にその場から動けなくなるタイプのガード(モンハンの大剣とかかな)だと下がりきれなければリスクになるところ、格ゲーは距離を取ることにとってもセーフティです。
2はダクソやモンハンをイメージするとわかりやすいですね。これらはガードをするとスタミナを大きく消費するので、いずれは攻撃をガードし続けられなくなりますが、格ゲーはせいぜいミリほどの削りダメージを受けて終わりです。いくらでもガードできちゃいます。
3はスマブラやモンハンはそもそもガードを構える前にちょっとラグがあったり、解除する際の行動が不自由になっていることが多いのですが格ゲーはガード発動/解除の隙が全くないです。これによりこまめにガードをしながら細かく歩く「歩きガード」と言うテクが強力になります。2と合わせるといくらガードしても大丈夫な盾を構えながら相手に近づくような、仮に他のアクションゲームだったらチートみたいな動きが格ゲーではできちゃうってことですね。
一方で攻撃は意図的に弱くデザインされている
そんな格ゲーのガードに対峙する格ゲーの攻撃技は、一方で一般的なアクションゲームよりも弱く作られています。シンプルに技のモーションスピードが遅く、見てからガードできたり空振りを殴りやすいように作られています。あとはよく言われるコマンド入力も攻撃の難しさに拍車をかけていますね。
そもそもなんでこんな作りになってるか、は本題から逸れるので詳しくは説明をしませんが、シンプルに一言で言うと「ハメ=攻撃連携に抗えない状況」を作らないためです。
初心者はみんな攻めたいのにそれを許されない格ゲー
この格ゲーのガードの強さは体力ゲージを奪い合い、タイムアップまでにどちらがより多く体力を残せるかと言う緊張感や醍醐味を生む重要な要素として、僕自身はポジティブに捉えています。
ただ、一方で初心者にとっては酷なゲーム性になっている要因だとも思ってます。
みんなスマブラをやったときの気持ちを思い出してみてください、やっぱ攻撃を当てたいしあわよくば相手を倒し切りたい、そしてそれは対戦相手も同じことを思っている。つまり「攻撃を当て合う」こと、それがこの手のゲームのユーザーが求める本質的なニーズだと思います。
しかし格ゲーはガードが強すぎるあまり、知識差が少しでもあると初心者同士の戦いでも、ガン待ちで片方が何も起こせない展開を作れてしまいます。故に攻撃ボタンを押して何か起こしたい初心者のニーズと根本から噛み合わないゲーム性になってしまっていて、だからこそ格ゲーは忌避されがちなのだと僕自身は思っているのです。
初心者のニーズを徹底的に捉えたスマブラ
攻めが肯定されやすいスマブラ
いよいよスマブラとの比較に入りましょう。と言ってもこれまでの話を読んでいただけてるならば、なんとなく話の展開はわかると思います。スマブラはこれらを全てクリアしているのです。つまりスマブラは攻めが強いゲームです。初心者でも攻撃ボタンを押したらなんか起こりやすいように作られています。
コマンド不要
シールドはし続けられないので、攻撃さえ当て続けられるならいつかダメージも取れる
攻撃の反撃が難しい(逆を言えば反撃されない)etc
と言うようにとにかく積極的に攻撃することが報われやすくなっています。
どっちがより有効な一撃を当てるか、と言うところに差が出やすいゲーム性とも言えます。
とにかく攻撃することが初心者のニーズならば最適なゲーム設計です。他にもガードとは少し異なりますが復帰ミスなどで簡単に大盤狂わせが起きることも逆転性が高いですね。
難易度自体は実はスマブラ>格ゲー
ただこれは逆を言えば真面目にやり込もうと思うとスマブラよりも格ゲーの方が簡単とも言えます。
また、結局のところ格ゲーもスマブラもガチ勢になると攻撃のリスクをいかに下げ、相手の攻撃にリスクをつけるか、つまり相手に触らせず一方的に攻撃を当てるかと言うところが攻略を詰めていく作業のメインになるとこは変わりません。それを考えると安易に強いガードに頼りやすい格ゲーは攻略の答えが出やすいです。
スマブラはゲーム性的にそれが難しくなっていると言うことなので、プレイヤー側に求められる技術や練度が高くなる傾向にあります。
格ゲーが流行らないのは難しいからではなく、やりたいことができないから
とりあえず格ゲーとスマブラのコアな部分の違いを頑張って言語化して比較してみました。
こう見ると格ゲーが流行らないのは「難しい」からではなく、「攻撃を当て合う」みたいなそもそも初心者のニーズを満たすことができていないためな気がしています。
昨今の格ゲーがコマンド入力をしなくても必殺技が出せる仕組みを導入していますが、いまいちバズらないのはやはりそもそも攻撃を決めて気持ち良くなる、と言うところにまではコミットできていないからなのだと思いました。
これにて一旦このテーマは以上とさせていただきます。