先日のミリシタ生配信で今後実施する多くのイベントについての発表がありました。本当に多かった……。元配信は二時間ほどあって記事一つでは語り切れないのでとりあえずタイトルにあった性別選択とそれに関連する新モード「アイドルグランプリ」についてのみ書き記します。
https://www.youtube.com/live/Pt68BZangGk?si=vlH4OYpg8qJ8oS9z
元配信だと1:16:00あたりからその話をしています。
アイドルグランプリとは

アイドルマスターミリオンライブシアターデイズのアプリに実装予定(予定日は未発表)の新しいプロデュースモード。それがアイドルグランプリ、略称をアイグラと言います。アイグラは現状のメインコミュと違ってアイドル一人とプロデューサーが一対一で交流し仕事をこなし賞レースを勝ち抜きながらトップアイドルを目指すといった流れになっています。システムは現在メインのリズムゲームではなくアーケード時代のアイマスに近いミニゲーム集でまさに原点回帰といった趣です。今のところ実装予定のアイドルは北沢志保一人であり、その他のアイドルは未定です。音ゲーは苦手という方にも触れやすいですね。

そして、この新モードはミリシタと同じアイドルが出てくるもののこれまでのストーリーとは異なる別時空の話です。つまり、今までの積み重ねを意識せずみんなが同じ状態でスタートできるということですね。メインの展開を続けたまま新しい軸を同時展開するというのはDCコミックスがこれから展開する正史とは別のタイムライン、アブソリュートユニバースに通じるものがあります。もしDCに興味あるという方はそこから見始めてもいいかもしれませんね。そのアイグラ内のプロデューサーの性別が選択可能になっている。そしてそれはアイドルマスター全体でも初めての試みなのです。
男性以外のPからは
性別選択機能については色々意見があるようですが。筆者は男性なので見落としや理解しきれない部分があると思いますが、私の観測した範囲だと概ね好意的に受け止められているようです。自分の居場所が目に見える形であるのは嬉しい、運営からしっかりと要望を受け止めてもらえた、これを機に始めてみたい。といった男性以外のPからの意見は多く見られます。そもそもアイドルマスターは男性向けの恋愛シミュレーションゲームであり、主に成人男性に向けて作られていました。それもあってスケベなおじさん向けの描写とかも多分に含まれていました。パイタッチコミュとか……。しかしその尖ったストーリーやキャラの良さから想定外の層からも支持を受け、人気を増していきました。思えば、無印の春香エンドがなければ今のアイマスはなかったのかもしれません。恋よりも夢を追いかけるスポコン路線がギャルゲーの中に生まれた特異点でした。とはいえその時はまだ全体から見れば少数派でした。そこからジュピター実装だったりDSだったりサイドエムだったりと色々な動きがあり、当初のメインターゲット以外の層というのは存在すると意識せざるを得なくなってきます。その層とどう付き合っていくかという問題が運営とファンダムに突き付けられるわけです。先鋭化するか、歩み寄るか。排除するか融和するか。方向性としては概ね歩み寄りと融和に進んでいった。あるいはそうせざるを得なかったと言うべきでしょうか。運営としては幅広い層に受けた方が利益はある。また、人の好きは他人にどう言われようと止められないものがあり、そうした人たちがいる限り完全にファンダムから一つの層を排除することなどできないからです。そんな流れもあり、完全には男性向けでなくなったアイマスですが、その根っこにあるのはどうしてもギャルゲーです。運営も男性ファンが一番大きな支持層と認識しており方向性はどうしてもそっちに引っ張られるし、性別をぼかしているサイドエム以外はプロデューサーの性別は男性であることが当たり前とされてきました。DSやアニマスで女性Pの存在も一応は描かれていましたが男性Pがメインでした。それが今回、新モードのみとはいえ選択可能になるのはミリオンライブだけでなくアイマス全体にとっても大きな変化です。
選択肢があるということ

主人公が自分と同じ性別じゃなくても感情移入できるし楽しめるという人もいます。私もペルソナ3でハム子でプレイし真田先輩と荒垣先輩で二股かけたり順平に失恋したりしてましたし異文化交流きっかけでアイナナに手を出したりもしました。MEZZOの二人と十さんと御堂くんが好きです。そういう楽しみ方をできる人の気持ちはわかります。けれど、だからと言って選択肢を作る必要がないとは思えないのです。もちろん、どうしても変えられないという場合もあります。どうしてもこの性別でなきゃ描けないという作り手の立場も尊重されるべきでしょう。しかし、それでもやって欲しいという要望を出すことやどうにかしてできないかという試行錯誤も同じくらい大事です。また、シスヘテロ男性の立場から他の視点を見るのとそれ以外とでは明確に差があり、単純な比較はできません。これは悲しい社会構造の歪みです。
そしてなによりも、選べること。その事実が一番大きいのです。あなたの席もあるよと示すこと。見ていると示すこと。その事実が人を救うのです。透明化によってそれを許されなかった人たちに今までいたのにいないことにされてきた人たちに、あなたがいることは当たり前のことであり何にも許される必要もないことを伝えることがなにより大事なのです。これもまた、社会において弱い立場である移民のヒーローとして創造されたスーパーマンを始まりとし透明化された人々に光を当てることを理念とするDCに通じるところがあります。DCプライドやサンオブカルエルでこの世界にもヒーロー達の中にもあなたの居場所はあると描き、ドラマシリーズのアローバースでは社会問題を取り上げながらヒーローは一人も手放さないと示したように。あと、無回答があることも素晴らしいです。これも結構大事なことですよ。
セリフ差分についての私見
公式発表では性別選択によって微妙にセリフが変わると書いてあります。それがどういう意味なのか。おそらく一番大きいのは亜美、真美や桃子、莉緒のような二人称に性別が関係するアイドルに関することでしょう。他にも違うとこはあるのかもしれません。その違いとは、という点で意見が分かれるところでしょう。性別によってがっつり扱いを変えて欲しい派。これは今までの疑似恋愛的な要素とは違ったものを楽しみたい人や性別の違いを意識したい人の意見です。細部に違いはあるものの大枠は共通であって欲しい派。これは性別に関わらず今までと同じ関係性や信頼が欲しいという人の意見です。両方に魅力はありますが私個人としては後者を望みます。担当がヘテロでなくてもキャラの芯は変わらないと思うし同性とだってデートしたり指輪贈ったりしたいからです。それは変化ではなく元々内包していた可能性の一つであると思います。現実の人間もセクシャリティは流動的なものですしね。
なぜミリオンライブなのか
正直言うとミリオンが実装一番乗りするとは思っていませんでした。確かにブランドプロデューサーが唯一女性でメインコミュでもこれまでとは違う方針を示してきたミリオンライブですが、一方でASから地続きも部分があり一番基礎設計が古いアイマスであることも事実です。また、これまでのテキスト全てに差分を作り音声も再録するというのは現実的ではなく、やるとしたら新しいアイマスだと思っていました。まあ最新のアイマスである学園アイドルマスターが一番ギャルゲーらしいアイマスをやっているのですが、それはそれです。ではどうしてミリオンが? その理由を自分なりに考えてみました。
一つは、ミリオンには耐久力があることです。知名度に劣るものの固定客が多くある程度変わったことを受け入れてくれる土壌があるブランドがミリオンライブです。新アプリへの完全移行だったりアソビストア経由の課金だったりとりあえずアイマス全体に適用する前にミリオンで試験をすることは過去にもあり、その一つであったと考えられます。
二つ目は狭間プロデューサーの存在です。潜在的な需要が存在するもののリーチできていない層をどう引き込むか。それについてはどのブランドも考えてきたでしょうが、ミリオンは特にそれに苦しめられてきた点もあり、そして今はそれまで打ってきた施策が実を結びつつある時でもあります。ミリアニによってラブライブやアイナナのファンにも訴求しミリオンライブが世界に知られつつあります。届ける範囲を広く想定し、そのために変えるべきとこは変え、残すべきところは残す。そのバランス感覚を持っているのが狭間Pです。他ブランドに先駆けて実現できたのもその知見あってこそだと思うのです。
三つめは、ミリオンライブだからです。一人も手放さない。それがミリオンライブの理念です。これまでライブでお兄ちゃんお姉ちゃん、プロデューサーくんプロデューサーちゃんなどの呼び分けによってその存在を認知しているしてくださった声優さんたち。そしてそんな現場の頑張りをただの美談とせずゲーム内で形にした上層部の皆さん。それらの思い全てがミリオンライブなのです。
まさかゲームの中に新しいゲームを一から作るなんて発想もミリオンライブらしいです。確かにそれなら過去テキストを弄らずに実装できる。なんたる力技! まあ現状でも格ゲーとかパズルゲーとか色んなゲームが一つのアプリに詰め込まれた闇鍋なので今更一つ増えたところだって感じもします
これからのミリオンライブ
今まで自分の性別でプロデュースしたいと願いながら叶わなかった皆さん。これからは違います。そしてもし選択肢があるのならやってみたいという皆さん、これを機に始めたいと思うなら歓迎します。我々は共に歩めます。これからのミリオンライブを見て欲しいのです。アイグラは初報が2022年の12月なのでめちゃくちゃ待ってます。でも待たせた分だけいいものを作ってくれるのがミリオンライブなんです。届くはずだと信じて作り続けられるのがミリオンライブなんです。アニメだって最初の発表が2020年で、それからいくつかPV出して、途中でCGのブラッシュアップしたりしてようやく去年放送できたんです。3年待ったんです。でも3年待った甲斐のある作品だったんです。だから、信じてくれませんか。今すぐじゃなくてもいいです。アイグラが実装されてからでもいい。アイグラに好みのアイドルが実装されてからでも、そのずっと先でも。いつ気付いてもいいようにミリオンライブは叫び続けてくれます。私も同じように叫び続けます。その時まで。これからのミリオンライブはきっと前よりもよくなっていくし、いつハマっても楽しいコンテンツです。