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スクウェアの迷作と名高い、ギャグ満載の戦略シミュレーションRPG。物語はキャラがステージ上に立ち、それを観衆が見守るという演劇のような構図で進行される。シミュレーション部分はリアルタイムとなっており、自軍の城を守りつつ攻めてくる敵を打ち破りながら自身も将軍を派遣して敵の城を攻め、統一していくスタイル。一定時間が経過するとイベントや月イチコマンドが発生し、新たに将軍を雇用したり、切り札（アイテム）の補充等を行うことが可能。今作の目玉はなんといっても戦闘中にたまごからエッグモンスターを召喚するシステム。このシステムはFC版の前作が初出であり、ファイナルファンタジーにおける召喚の原点とされている。エッグモンスターもそうだが、全編にギャグ要素が盛り込まれており、自社（他社も）のパロディも豊富なため、元ネタが分かるとより楽しめる。とても戦争をしているとは思えないコミカルな戦闘、癖のあるキャラクター、汎用グラだが個性が光る将軍達など注目してほしい部分が多くある。音楽は前作ファンのすぎやまこういち氏が担当。更には伊藤賢治氏が効果音スタッフ、光田康典氏がサウンドエンジニアとして参加しているという豪華ぶり。元はSFCで発売された今作。現在、新要素を追加したリメイクがアプリで配信中。過去にワンダースワン版が発売されており、そちらは他社パロにガッツリ修正が入っていたが、アプリ版では元に戻っている物が多いのでSFC版により近い内容でプレイできる。当時のスクウェアの一味違った一面を是非味わってみてほしい。

今こそたまごを割る時だ！

半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!

恋愛ゲーム全盛期に降り立った異色の恋愛AVG。愛の共産化を目的とする地下組織「ラブラブ党」で活動する主人公。しかしラブラブ党の活動目的に反し、ある女性への愛が芽生えたことにより日々が一変する。恋愛ゲームの殆どは登場する特定の女性キャラの好感度を上げ、最終的に結ばれることが目標となるが、本作での目標は彼女であるメインヒロインへの愛を貫くことである。目移りするとゲームオーバーとなるため、他の女性キャラに言い寄られても（※主人公はやたらモテる）振り続けなければならない。自分の彼女を愛せばいいだけなので楽勝だと思われるかもしれない。だがこの彼女、敢えて詳細は省くが少々難があるため、人によっては「浮気してぇ…」などというクズ思考に陥ってしまう。筆者も陥った。そもそも大半のプレイヤーはメインヒロインが彼女であることに嬉しさは無く、彼女に対しての想いが主人公と全く一致しないという致命的なバグを抱えながらストーリーを進行させることとなる。それを乗り越えることで真実の愛に到達できるという仕組みだ。ストーリーを進めていくと、時折、対立したラブラブ党が放つ刺客との戦闘「論撃バトル」が勃発する。これは刺客の主張に対し、時限ありの選択方式で自論を述べ愛を説き相手をねじ伏せるというシステムなのだが、要はただの口喧嘩である。その口喧嘩がまた楽しい。バカゲーと捉えられそうだが、愛について考えさせられる謎の説得力があるため、それで括ってしまうには惜しい作品。変わり種ゲームハンターの心を鷲掴みにすること請け合いだろう。

とある愛の共産化団体員（元）の異常な愛情

キャプテン・ラヴ

SFC末期に発売されたクォータービュー形式のファンタジーシミュレーションRPG。戦闘はターン制となっておりBP（バランスポイント）を消費し、移動・攻撃・アイテムの使用を行う。難易度はそれほど高くはないため、SLGが苦手な方でも問題なくプレイできるだろう。キャラクターデザインはトライガンで有名になる前の内藤泰弘氏。ゲーム内では氏が描いたキャラが顔グラで綺麗に表現されている。ストーリーは主人公マイラが「見知らぬ女性が語りかける夢」と「夢の中の記憶の無い自分」の謎を解明すべく旅に出るところから始まり、道中で様々な過去と現在を行き来することになる。この作品には元々マイラを含むメインキャラ5人をそれぞれ主人公に選択できるものとして開発されていたが事情により立ち消えとなった経緯があるのだが、主人公となる予定だったからこその5人のキャラの立ち具合とそれを取り巻く人間模様・ドラマが大変良く、胸を打つ物が多い。好みが上手く合致すれば尚最大瞬間風速かの如くハマる。感情表現ができるライブラリートークシステムが殆ど機能していない等の問題点も見受けられるが、それを差し引いても魅力が余りある本作。現状、移植やリメイクが一切行われていないため遊ぶハードルは高いが、機会があれば是非プレイして頂きたい。

おる