白夜極光の天空の庭という面白くないコンテンツについての記事です。最近プレイし始めて面白いなと思っていた新規ユーザーを叩きのめしたのは、開発者たちのエゴから生まれ落ちたと思われるサンドボックスでした。

最近遊んだゲーム。なかなか面白い。

公式のジャンル紹介が「ラインストラテジー」ってなってるんですがこれは大嘘です。ラインストラテジーって要はX軸の駆け引きが中心になるメルストやにゃんこ大戦争みたいなゲームのことを指すんですけど、白夜極光は完全に別物。運営だか開発がラインストラテジーってジャンルを理解してなかったことだけは分かる。白夜極光はX軸もY軸も使うので、どちらかと言えばマス目型ターン制戦略シミュレーションRPGに近いです。FEとかディスガイアみたいなね。見た目は。

実際の内容は、同じ色のマス目をつなげて連鎖を起こして爽快コンボ！っていうパズルゲームに近い性質を持ちます。まあジャンルはどうでもいいんです。つなげたライン上に敵が隣接していれば攻撃できて、そうでなくともコンボ数でアクティブスキルが発動するっていうシンプルなルール。

序盤はチュートリアルも兼ねていることもあり何も考えなくてもクリアできちゃうんですが、中盤以降になると少しずつルールや要素が増えてきます。結論を言うとそれでも頭を使う必要はないんですが、「頭を使った気にさせてくれる」のがよい。「あっ、今の俺、上手かったな〜」ってうぬぼれながらやれる。ゲームにおける爽快感ってのはこれです。別に全然上手くないんだけど、上手いと錯覚させてくれる。楽しいし気分もいい。

キャラ（光霊）もなかなか愛嬌があって、プロフィールとかボイスとか、単純にバリエーションが多くて飽きさせません。キャラとの掛け合いが発生する「通信」っていう要素があって、LINEみたいなチャット形式で話が進んでいく交流メインのコンテンツです。僕自身はこういうのを見るとサブイボ立っちゃうひねくれた人間なんですが、まあ好みなのでいいです。少なくとも、キャラの背景とか設定とかを大事にしようとしてるんだなってのは伝わるので。

かわいい女の子が出てくればなんでも良いんですけど、野郎たち結構も個性があって好印象です。見た目だけじゃなくて、実際に使うと好きになるって話。かっけえ！ってなる。イスタバンとか好き。ファウストも声がいい。

天空の庭という衝撃のコンテンツ

意外と面白いな〜って感じで進めていると、突如として現れるのが天空の庭というコンテンツです。アンロックされて、新コンテンツだわーいって感じで飛び込んで真顔になりましたからね。え？結構いいゲームだなって思ってたけどマジか。原文ママ。

話が逸れますが、皆さん風花雪月って知ってますか。Switchで出たファイアーエムブレムの作品です。あれの学院パートだと思ってください。FEはターン制戦略シミュレーションRPGの部分が面白くて魅力的なのに、アクション性0のアドベンチャーパートを何故かやらされるってアレです。まあ最初のうちは新鮮で面白いんですよ？うおおってなりますよ。でも周回を繰り返して新鮮味が失われると手間と面倒しか残らないコンテンツ。

それが白夜極光における天空の庭。ちょっと言いすぎたかもしれない、風花雪月について。でも、これはいいんです。エルデンリングでNPC戦だけコマンドRPGになってるとか、ウマ娘でチーム競技場だけ音ゲーになるとか、考えるだけでイヤなんですが最初くらいは楽しめたりするもんです。当然ながら「あえて」曲げた要素を持ってくるってことは、結果的にどうあれユーザーを楽しませようって意識がないと出てきませんからね。おまけに意外と凝ってる作りだったりする。わざわざドット絵用意されてるとか、専用のボイスとかモーションがあるとか。無駄にクオリティ高かったり。

まあ、白夜極光の天空の庭は全然面白くないし低品質なんですけど。

ユーザー体験低下の心配しかない荒地

とにかく操作が無理。というか操作部分が全てまである。自分はPC版でプレイしてたんですが、まずWASDの操作を要求されます。要はキーマウ。この時点で？？？？？だったんですけど、ダッシュの仕方がわからない。ShiftとかSpaceかなと思いきや反応しない。画面上に靴マークのボタンがでかでかと出ていて、あーこれ押しながらね？ってWASDで移動しながらマウスでクリックするわけ。

何故か前回避が出るんですよ。前ステップ。ちなみに天空の庭にアクションバトル的な要素はないです。つまり回避なんてアクションは不要なので、消去法でこのボタンはダッシュだろうってなるんですけど、この挙動をしてダッシュを名乗ることも考えられないので、本当に謎のアクションボタンです。意味不明。なんだろうこのアクション。言うまでもなく、ボタン押しっぱなしにしてもダッシュしてくれません。操作面についてもうこれだけでストレスフル。スマホだともっとやばいらしいです。てか天空の庭が重くて全然動かないらしい。自分のPCも天空の庭に入るとHDDが1回唸ります。

じゃあ操作以外の部分はどうなんだって話。

説明が前後しますが、天空の庭はいわゆるハウジングとか呼ばれるコンテンツ。建物や木々の配置をある程度自由に決められて、そこに住人がいてちょっとした交流があって、みたいなスローライフ。昨今のゲームではサブコンテンツとして多く導入されてますよね。それ自体はいいんですけど、天空の庭は一味違うんですよ。アクション以前の、移動すら困難というか苦痛です。

操作性が終わってるのは前提として、ハウジングなので多少立体的というか所々に段差が生まれるわけです。この段差、びっっっっっっっくりするくらいつっかえます。昔のゲームで「大きな岩が道を塞いで通れない！」みたいなアナウンスに対して、いやそれくらい乗り越えろよ！みたいなツッコミをした経験がある人は少なくないと思いますが、そういうレベルではない。キャラクターの膝くらいの段差があったらもう登れません。登れる段差は階段くらいしかないです。階段は多分、内部的に傾斜になってる。

でまあ、100000歩譲って登れないのはいいとしてもですよ。段差を降りることもできません。なんで？登りはまあ接触判定の問題でキャラが突っかかってしまうのは理解できます。ただ降りれないということはこれ、段差のせいで昇降できないんじゃなくて段差と思われる部分に透明な壁みたいなのが置いてあるってことなんですよ。なんで？なんでそんな余計なことするの？それとも意図せず生まれてしまう現象なのか？僕は3Dデザインに無学なので分かりませんが、無学な身でも透明な壁は排除すべきだと分かります。

操作も移動も困難な天空の庭ですが、一番やばいなって思ったのはイベント。

天空の庭のコンセプトって「光霊との交流」なんですよ。要はキャラとの交流。普段見られないキャラの一面が見れるとか、サイドストーリーが見れるとか、そういうやつ。なんですけどこれ、本当に申し訳ないんですけど、企画した人は面白いと思ってんのかなってくらい毒にも薬にもならない話しかしません。今日は晴れですね、そうですね。みたいな。そんな内容の話が、文字数30倍くらいで繰り広げられます。冗長。無駄。退屈。

ところで、「おっと話の途中だがワイバーンだ！」っていうFGOのネタがあります。今もあるんでしょうか。ストーリーシナリオの合間に、なんの脈絡もない戦闘がゲームとしての都合上挿入されて没入感が失われるっていう現象・状態を揶揄したネタです。グラブルでも昔似たようなネタがあった気がします。展開上この戦闘なくても物語に影響ないですよねっていう。ゲーム的な都合でしかない。宿敵を追い詰めてやっといざ決戦！みたいな展開なら別ですよ勿論。ストーリーに沿ってますから。

天空の庭で開催されているイベントって、この戦闘が移動に置き換わったものがひたすら展開されるだけなんですよ。移動と移動と移動を繰り返すコンテンツをおつかいって言ったりもしますが、天空の庭はおつかいですらないです。移動。だって会話も面白くないから。で、先述の通り操作性もアクション性もひどいもんだからただの移動すらストレスなんですよ。一般におつかいに対する怒りとか不満って、移動と会話だけでイベントが終わっちゃう状況に対するものじゃないですか。天空の庭は違うんですよ。移動をさせられる状況がそもそも不満なんです。

移動の最中に大きな障壁があるとか目的地がなかなか見つからないとか、そういう途中経過込み込みの体験があって初めて、おつかいがイベントに昇華されるわけです。それすらめんどくせえって意見もあるんですが、ここではないものとします。で、天空の庭のイベントはさ。この移動にさ、なにかユーザーにとってプラスになりうる体験があるんですか？ないんですよ。あったらこんなこと書きません。

いやほんと、なんでこれ移動が必要なのかな。別に光霊との交流ってのがメインなら通信とか巨像とかでノベル形式で掘り下げできてるんだからそれでいいのに。なんで面白くもない満足に操作もできない移動なんていう意味のないプロセスを挟むんだろう。理解不能です。

で、この天空の庭っていうコンテンツ、白夜極光の1周年で発表されたものらしいです。すげー。発表時はお〜って感じだったんだろうなあ。いざ実装されて、期待に胸を膨らませていたかもしれない当時のプレイヤーの絶望感を想像するとたまりませんね。お疲れさまです。本当に。

しかも何が地獄って、公式のお知らせによると天空の庭を頑張っていくらしいです。サイドストーリーは半年以上更新せず、秘境探索はほったらかし、旧き印のような長期コンテンツも追加されず、資源ステージも上の難易度も初期のまま、でも天空の庭を頑張ってくらしいです。ふ〜ん。がんばえ〜！

なんかもう、ユーザーの期待に応えようって気があんまりなさそうだなって思ったので、白夜極光、そろそろ続かないかもなと思ってます。自分たちがやりたいからやったとしか思えない。まあ自分が少数派だってんならそれはそれでいいです。僕が白夜極光を辞める側ってだけの話なので。

別に制作者側がやりたいことやってもいいですし変なことやってもいいんですけど、それが不発に終わったときにちゃんと省みて、あの施策は失敗に終わったので切り替えましょうってやってほしいなって感じです。天空の庭ってぶっちゃけ、1回くらい3Dモデル使ってアクションやってみたいよねーっていう開発者たちのサンドボックスとしか思えない。砂場ですよ砂場。庭じゃないんです。

各種達成報酬を受け取るだけのコンテンツですこの砂場は。ここも怒りポイント。せっかく作ったコンテンツを遊んでほしいのは分かるんですけど、ガチャ石みたいなインセンティブを用意して遊ばせるんじゃなくて面白さで遊ばせてほしい。せめて。石配ってアクティブ増やすなんてセコい真似しないでほしい。別にいいですよ天空の庭、開発者たちがやりたいならどうぞ損益の出ない範囲でご自由に。でもせめて、天空の庭の存在を苦痛に感じているプレイヤーが一切関与しないでも不利益にならないような配慮をしてくれ。やりたくないけどやらなきゃ損、ユーザーにこの思考をさせてしまうから余計に不満が募るわけです。

実際天空の庭は多くのユーザーから不満があるらしくて、公式ユーザーアンケートの内容からそのことが察せます。「XXイベントの良かった・悪かった点を教えて下さい」って感じの設問がある中、天空の庭だけ「不満点を教えて下さい」ですからね。分かってるじゃん。でまあ操作性が悪いだの無駄に広いだのキャラの会話がつまらないだのチェック入れて送るわけですが、それだけだと多分「う〜んじゃあ天空の庭のここを改善しよう！」ってなっちゃうんですよね。だからその他不満点の部分に800文字くらいの怒りをぶつけました。天空の庭の不満点は存在そのものです、が大筋の内容。我ながらイヤなこと書いたなと思いますが、ゲームの面白さは確かですってフォローもしたので大丈夫です。多分。

『白夜極光』は面白いゲームです

いや本当にゲーム部分は面白いんですよ。天空の庭がひたすら苦痛で、そこに開発リソースが恐らく当てられてるから本筋のコンテンツが疎かになっちゃってるだけで、ゲーム自体は面白いんですよ。ここまで天空の庭を悪し様に罵ったあとなので信じられないかもしれませんが。

余談ですが白夜極光には「巨像」と呼ばれるコンテンツがありまして、こちらは箱庭に相当します。ハウジングと箱庭って何が違うんだってのを文章で伝えると大変に面倒なので、ざっくり言えば操作キャラの有無だと思ってもらえればいいです。ハウジングはキャラ操作あり、箱庭はキャラ操作なし。独自の分類なので真に受けなくてもいいです。

巨像という箱庭自体はそんなに悪くないですよ。面倒事はあるんですが、まあ無難に楽しめる範疇。何故ならUIUXで苦しめられないから。これ本当に重要です。素直にこっちを拡張していけば、不満はあっても苦情は出てこない程度だったんじゃないかなって思います。

自分は5000円ほど課金しましたが無課金でもかなり楽しめるので、興味がある人はぜひプレイしてみてください。『白夜極光』をね。砂場遊びはほどほどにしてください。服が汚れちゃったらイヤでしょ？

【白夜極光】天空の庭というTOURDOGの砂場