小学校の道徳の時間で教わったことなど何ひとつ覚えていないが、マジカルバケーションのストーリーやセリフはよく覚えている。おおげさだが、自分の人生観に強く影響をもたらした作品だと思う。推しはブルーベリーちゃんとカフェオレ。このゲームは現状遊ぶには

小学校の道徳の時間で教わったことなど何ひとつ覚えていないが、マジカルバケーションのストーリーやセリフはよく覚えている。

おおげさだが、自分の人生観に強く影響をもたらした作品だと思う。

推しはブルーベリーちゃんとカフェオレ。

このゲームは現状遊ぶにはGBAかWiiUのVCしかないため、ネタバレ全開で語っている。ご注意を。

当作は魔法学校ウィルオウィスプで魔法を学ぶ主人公と、16人のクラスメートたちが主役。

彼らが臨海学校でエニグマに拉致され散り散りになってしまうので、全員を救って学校に帰るというのが目的。

中島美嘉さんが海岸で叫ぶCMを覚えている人はいないだろうか。

当作において重要なのが、上記のエニグマという闇の生き物。

融合すると絶大な力を得られるが、よっぽど精神力が強くないと基本的には意志を乗っ取られてしまう。

エニグマもまた人間と融合すると力を得られるようなので、彼らはクラスメートたちの心の弱みにつけ込み、乗っ取って己の野望を実現しようとする。

魔法学校の卒業生の5人に1人はエニグマが憑いており、魔法学校の校長までもが強力なエニグマと融合済みというのだから、邪悪といえども魔法使いにとって切り離せない存在なのである。

また、一度エニグマと融合してから融合を解くと魔法が使えなくなってしまうというのもミソ。

このシステムがストーリーに大きく関わってくる。

キャンディというクラスメートが己の中の嫉妬心に押し潰されエニグマと融合してしまうのだが、結局は仲間たちによって救われ、みんながいるから魔法なんて使えなくても大丈夫ということに気付くのだ。

キャンディは本当に大切なことに気付き、精神的に強くなったので、魔法が必要なくなった(まあ実は、レベルを上げれば魔法は再び使えるようになるのだが……)。

CMでは「最も強い武器は友情だ」というコピーだったが、「本当に強くなれば戦う必要もなくなる」というのが当作の裏テーマだと思う。

このゲームの世界では魔法＝力そのもので、なくてはならない武器ではあるが、その存在を作品自らが否定しているのである。

それが当作のおもしろいところ。

マドレーヌ先生という担任の女性がクラスメートのひとりに、多くの人を殺して、己の力を誇示して、それがキミのいう強さだと思うならそうしなさい、と言っていた。

強さとはそうじゃないということをこのゲームは言いたかったのだろう。

自分が、負けず嫌いなんてアホらしいと思う性格になったのはこれのせいだと思う。

(ところでマドレーヌ先生、24歳だって。しっかりしすぎじゃない？)

このゲームには多様な種族が存在する。

人間や動物にとどまらず、人形のパペット族だっているし、ツボは喋るし動くし、幸せを追求するこんにゃく様もいる。

ネズミはチンピラやってるし、ピラニアにぶつかるとおカネをカツアゲされる。

治安悪くね？ムチャクチャである。

それもまたおもしろいところ。

当作のストーリーは臨海学校でみんながいなくなってしまったあと、殺人事件、いや殺パペット事件から始まるため初っ端からムチャクチャ暗〜い気分にさせられる。

それからは愛ってなんなんだという話になったり、無実の罪で村八分を受けている若者とか、妹の不治の病を治すため密猟に手を染める兄とか、人間の業がこれでもかというほど詰まっている。

小学校の頃、友だちに勧めまくって5人ぐらい遊んでくれたが、誰も全クリするまで至らなかったので、たぶんストーリーが重くてつまらなかったのだろう。

最終的にはハッピーエンドなのだが。

大好きな作品なので語れることは無限にあるが、今回は一旦このへんで。

最後に、ネズミのマフィアたちに拉致られオーブンに改造された古代機械のクラスメートを救うべく、乗り込んだチーズの塔で言われるお気に入りのセリフを記して〆とさせていただく。

道徳はマジバケで学びました