不朽の名作を普及させたい、あわよくば３を開発させたい。先日発売した『The Last of Us Part II Remastered』の話をします。

ラストオブアスシリーズについて

　１作目の発売当初からストーリーが神がかっていると言われた本作、2023年には発売10周年を迎えています。プレイする映画と呼ばれる程に映像美とストーリーを追求した、アンチャーテッドシリーズを生み出したノーティードッグ（NaughtyDog）の作品です。

　Part1はゾンビ系のポストアポカリプス世界で、頑固なおじさんがとある目的の為に少女と旅をする話。

Joel

　そして今回は続編となるPart2を中心に紹介しますが、こちらのストーリーについては何を話してもネタバレになりそうなので割愛します。

　日本での評価としては、大絶賛のラスアス１と賛否両論のラスアス2と言われることが多いです。シリーズ通して人間の汚い面がたくさん出てくるけど、特にPart２は昼ドラもビックリなドロドロ展開が続くので、心に痛みを負う覚悟を持ってプレイしてください。

　でも東京トイボックスで仙水氏が言っていたように、「プレイヤーの人生に何の爪痕も残さないゲームなんて意味が無い」というのが真理だと思うんです。そういった意味で議論が活発化して多くの人の価値観を塗り替えたラスアス２は、ゲーム的には大成功なのかもしれない。

　Part3の構想は有るらしいのに発売に向けて動き出していないという噂も聞こえてくるので、あんまり成功していないのかもしれない。

　舞台は現代アメリカ。突如発生した謎の寄生菌によるパンデミックにより崩壊した世界。 寄生菌の発生直後、対処法が確立される前の時点で大多数の人類は感染者となり、人類社会は崩壊した。ゲームはそれから20年後の話になります。

　この寄生菌は人間に寄生することでゾンビのように狂暴化させ、人間に噛みつくことで更に感染者を増やしていく他に、キノコのように胞子を飛ばすことも出来ます。ただし無限に広がるようなことは無く、空気の籠った閉所でのみ増殖するため、そのような危険地帯に踏み込む場合はガスマスクが手放せなくなっている。

人類は寄生菌の治療法を確立できておらず、感染を逃れた人々は隔離地域に篭り、軍による厳しい統制の下で暮らしていた。出入りは厳重に管理され、感染が判明した者や、軽犯罪者は即射殺されるが、こういった厳しい体制のおかげで人類はギリギリの所で存続していた。

　隔離地域の外には狂暴な感染者が徘徊しており非常に危険な環境だが、厳しいルールの元での生活に辟易して自由を求めた集団もそれなりに存在しており、隔離地域外に拠点を築きあげて独力で生活している。

　ゲーム内ではほとんどアメリカの情報しか得る事が出来ず、他の国の様子についてはほとんど不明となっているが、世界中がアメリカと同じ状況になっているとすると、世界人口は1%以下に減っていることだろう。

インフラが崩壊し、弾薬等の物資の数も限られるこの世界で、君たちはどう生きるか。

　銃を撃ったり鉄パイプで殴ったり、拾った材料を組み合わせて火炎瓶や煙幕も作れるし、何も無くても拳がある。そしてステルス状態なら一人ずつ音もなく絞め殺す事も出来る。

　※余談だが、チームで襲ってくる敵を最後の一人になるまでステルスキルすると、不憫なほど狼狽する姿を見る事が出来る。にやにや。一方、最後の一人になるまでゴリ押しでねじ伏せると武器を捨てて命乞いをしてきて、とどめを刺すか見逃すかを選ばせてくる演出も有る。本当に芸が細かいんだ！

　象徴的なシステムとして、耳を澄まして壁の向こうの敵の動きを察知する「聞き耳」というアクションが面白い。これのおかげでステルスの難易度は比較的低いです（なお高難易度では使用不可になる模様）。ただし聞き耳中は走ったり戦ったり出来ない無防備状態なので、安全を確保した場所で使うか、短時間で状況把握できる訓練を積みましょう。

聞き耳

　聞き耳システムの実装による影響なのか敵も物音には敏感で、自分が出す音の大きさによってすぐに位置を特定されたりする反面、ビンを放り投げて敵の意識をそらす事も出来ます。ただ敵もバカじゃないので、基本的に一人で近づいてくるようなことは無く、警戒したまま隊列を組んで音の出所を探すので、先の展開を想像してから投げる必要があります。

　あとは自動車とかベッドの下とか草むらとか、寝転ぶことで発見されにくくなるスポットも多いので、ほとんどの場面はステルスで突破する事が可能です。そういったアレコレを理解出来ればエイムに自信が無くても最高難易度攻略が出来るゲームだぜ。

　※持論だけど、エイムにしろステルスの立ち回りにしろ、結局はプレイヤー自信の経験値を稼いでレベルを上げるしかないので、両方ラスアスで鍛えれば良いと思うの。この記事で伝えたいのはそういう気持ちです。

　とにかくプレイヤーが出来るアクションが多彩で、たぶん自分が知らない物もあると思いますが、一例として敵の後ろからこっそり近づいた後、羽交い絞めにして銃を突きつけたシーンです。

捕獲

　ここからそのまま撃ちぬくか、ナイフで首をサクッとやるか、筋肉で首をゴキッとやるか、あるいは正面の敵2人への人質にしたまま物陰に隠れるか、盾にしたまま銃撃戦を始めるか、近くに感染者が居るなら噛み付かせて感染させてみるのも面白い。

Catch & Shot

　とにかく思いつく限りの利の有る行動は大体実現できているのです。これがすごい！

　感染者と敵陣営の人間と三つ巴になる場面も少ないが存在しており、漁夫の利狙いのステルスをしてもいいし、思考停止の傍若無人天下無双スタイルで目に入る敵を片っ端から殲滅して行っても良い。

　場面場面での残弾状況、地理的情報、敵兵力や位置関係を分析して、対処方法を考えながら攻略する楽しみが強く感じられるのが本当に面白い作品なのです。

　RPGみたいなレベルの概念はありませんが、本を読んでアイテムの製造方法を覚えたり、怪しい薬を飲んでスキルポイントをゲットしたり、武器を改造して強化したりといった強化システムがあります。

　ただしこのタイプのゲームでは良く有る事ですが、強化による上昇量よりもプレイヤーの熟練度の方が遥かに重要で、慣れてしまえば無強化でも案外簡単にクリア出来る程度の強化要素です。

　どちらかと言えば、工作ASMRとして楽しみにしてる面が強かったり。

武器強化

　お薬で覚えられるスキルはそれほど多くありませんが、アイテム製造時に入手できる量が1.5倍になるとか、聞き耳の範囲が広がるとか、体力最大値の増加とか多岐にわたります。

　しかもローグライクモード実装で増えてるっぽいんですよね。拾ったスキル本を読むことでスキルツリー自体を増やす事も出来るので、しっかり探索せねばなるまいよ。

スキル

　最初のPS3版とPS4移植版のラスアスにはマルチ対戦モードがあってな、発売当初は本編のおまけ程度に考えられていたんだけど、かなりのスルメゲーでどっぷりハマる人が続出したのじゃよ。

　たぶん聞き耳が良い味を出していて、走ったり発砲したり音を出すと位置がバレて狙われるので、エイムに自信の無い人は音を出さないように隠密で意識の外から殺し、自信のある人は多少の位置バレを気にせずにサクサク動いてマップ中に散らばる大量のアイテムを入手し、火炎瓶やマチェットなどの強アイテムで殺す。

　もっと言えば、1ゲームの中で片方のグループが大きくリードした場合、勝ってる側の拾えるアイテム量が激減し、負けてる側は増えるという調整も有り、圧倒的不利な状況から一人の英雄によって大逆転勝利！なんて試合もそこそこ頻繁に出るので、逆に勝ってる時ほど油断出来なかったりもする。

　これらのバランスが奇跡的に噛み合っていて、誰でも楽しめる土壌が出来たのかなと思っています。

マルチ

　最大でも４VS４の少人数マルチのため、過剰に音を出すことで人数を誤認させつつ集中砲火を耐えつつ反対側から本隊に敵を殲滅してもらうような、単純なチーム戦術がハマりやすいのも面白い。

　とは言え発売から10年も経てば、マップ構造を完璧に理解した上で音の聞こえる範囲も理解しきったカンスト勢ばかりなので、新規参入者には絶望的に敷居が高いし、そもそも今売り出し中のPS5やsteamのリマスター版にはマルチがありません。

　そんな背景も有って延期を繰り返していたラスアス２マルチへの期待感も高かったんですけど、とうとう先日開発中止が発表されちゃったよ。俺たちがハードルを上げ過ぎてしまったのかもしれない。

　でも代わりに突然追加されたローグライクモードに激ハマり中だよ。　※後述

　これが理由でプレイ出来ないという人もいるので言っておきますが、２には犬が敵として出てきます。ゾンビでも犬っぽいクリーチャーでもなく、まぎれもなく犬。飼い主の命令で一生懸命敵を追い詰めて、褒めてもらいたいだけの犬です。そして彼らは匂いに敏感で、警戒エリアを抜けるか息の根を止めるまでこちらを無限に追ってくる非常に厄介な敵です。

　ゲームの中であっても、自分や仲間達の命と天秤に掛けても絶対に犬は殺せないという自信のある方は、プレイしないことを強くお勧めします。

　人間にしても犬にしても殺さない事自体は可能ですが、幾度となくその場面が訪れますし、この世界は甘くありません。

　飼い主を殺せば犬が泣き、犬を殺せば飼い主が泣く。ともすれば人間が死ぬより重い描写で死が描かれ、実際罪悪感もすごいですが、我々が操作するキャラは「すぐに同じところに送ってやるよ」って釘崎野薔薇みたいなメンタリティーなので、ゲームだと割り切る自信が無い人はプレイするべきじゃないぞ、とはっきり言っておきます。

　つい先日、2024年1月19日に発売された『The Last of Us Part II Remastered』がすごいんだ、という話をします。このソフトは現状PS5の専売状態で敷居が高いですが、しばらくするとsteamでも出るはずです。

　※Part1の時は半年後くらいでした。

　正直言ってリマスターされたことによって画面が綺麗になるとか、PS5コントローラーに対応したとかはどうでも良くて、ゲーム自体への追加要素が多かったのが神なんです。

　まずはオーディオコメンタリー。

　すごいゲームのすごい開発者たちの貴重な話が聞けるし、全部を合わせたら結構な時間の動画やら音声やらが収録されています。普通なら講演会場とかで聞くレベルの話なので、ゲーム開発に興味がある人は必見です。

　次にギターのフリー演奏モード。

　ラスアス２の随所にギター演奏シーンが有って、キャラの心情を音で見せてくる素敵な演出なんですけど、リマスターによって好きなだけ演奏できるようになりました。それほど盛り上がってるわけでも無いけど、腕自慢達が動画を上げているのでギター好きは探して見ると良いかも。とりあえずギター知らん民が触ってみた感想としては、何もどうにもなりませんでした。

ギター

　そして新しく追加されたローグライクモード「NO RETURN」。

　詳しい説明は後述しますけども、ローグライクってだけでテンション上がっちゃう民なので、既に本編トロコンする時間よりも多く遊んでるしまだまだ遊べそう。

　そして意外にも、無くなって悲しんでいたマルチモードのオフライン版みたいなプレイ感なので、もしマルチが無くて絶望して引退した人とか居るならやってみろ。

　TPSゲームの腕自慢達もどんどんプレイしてみて欲しい。私はラスアス上手い気持ちだったけど鼻っ柱折られました。最高難易度でデイリーチャレンジをクリアする実績が全然取れないし、気を抜くとノーマルでも簡単に死んじゃう程度でした。

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