トワイライトシンドローム探索編/究明編

『トワイライトシンドローム』

前後編に分かれているPSのホラーアドベンチャー。全10話＋αで構成され、三人の女子高生が舞台となる雛城で囁かれる噂の真相を探る物語です。

ホラーゲームといえばトワイライトシンドロームと答えるし、自分の中のホラーの線引きがトワイライトシンドロームになっているくらいには好きな作品です。

三人の女子高生による緩い掛け合いや、人との関わりに対しての三人の考え方、そして何か分からないものへの恐怖。それらが絶妙に絡み合っていると感じています。怖いけど話が気になる、っていうのを体感できる良ゲーだと思ってます。

探索編はプロローグと究明編に続くエピローグと四つの噂、究明編は五つの噂とおまけの噂。噂をクリアする事で次の噂へと物語が進むという構成（大吉、中吉、凶の三評価）。

・大吉　噂の真相も分かり、問題も解決（グッド）

・中吉　噂の真相はある程度分かったものの問題など解決はせず（ノーマル）

・凶　　噂の真相も分からず問題なども何も解決しない（バッド）

横スクロールでキャラを操作し、要所要所で撮影や録音といったホラーには付きものの行動があり、そうした収集も楽しめる。特に難しい操作を必要とせず、基本的には移動と選択肢で進められるし、一部シーンではキャラの声も聴く事ができるのも良い。

雛城高校に通う長谷川ユカリは後輩の岸井ミカに付き纏われ根負けする形で学校の噂を確かめる事に。ユカリの幼馴染のチサトも巻き込み、三人は夜の学校へ。

「旧校舎三階の女子トイレで儀式をすると、少女の霊が現れ、願い事を叶えてくれる」

ミカの言う儀式を行うも何も起きなかった為、チサトが知っている別の儀式を試す事に。何も起きず、ミカは落胆しながら三人は帰路につこうとしていた。一人遅れたユカリの前に少女が現れる。ユカリは二人の元へ急ぐと少女の話をする。振り返ると少女が声をかけてきた。

玄関に向かうが校舎内はぐちゃぐちゃに。何とか屋上へと出る事が出来た三人。

「お姉ちゃん達、もっと怖いものを見るんだから」

これを機に三人は不思議な体験をしていく事になるのだった。

しっかりと怖い話の中に切なさや優しさ、そしてギャグをぶち込んでくる構成。真相を知る事で三人にも少しずつ変化が現れるのが探索編。ユカリとミカ、チサトとミカの関係が徐々に変わっていくのもポイントです。

目の前で消えたミカに何が起こったのかを調べる為に図書室へと向かう二人。謎の少女S・Hとの机上通信、そして教師の話からミカの文通相手が数十年前に亡くなった少女『姫神 桜』という事を知る。二人はミカを連れ戻すべく、更に深みへと足を踏み入れていくのだった。

探索編から徐々に深い関係になりつつある三人が、深淵へと入り込んでいく様が描かれているのが究明編です。こちらは探索編とは少し様相が違っていてホラー成分が強い。けど強くなった分だけ他の部分も際立つという、つまりはパワーアップしたっていう事です。しかし一つの噂のプレイ時間も長くなっている点や周回のしにくさなども。

主人公である三人の女子高生、ユカリ、チサト、ミカ。

現実主義者で気が強い。チサトとは幼馴染。何故かミカから好意を向けられ付き纏われる、それがきっかけで不思議な世界へと足を踏み入れる事に。チサトの影響で心霊現象などは苦手で実は怖がり。

常識的であり思慮深いが、いわゆる箱入りで時々突拍子もない提案や行動をする事も。霊感体質であるが故に安易に足を踏み入れようとする人達に対しては厳しい事を言う面もあり、見かけによらず頑固な部分もある。

今どきの女子高生で楽しければオッケーな所がある。その為、噂の真相を探るといった事に首を突っ込む。偶然見かけたユカリに声をかけ巻き込む。几帳面な部分もある。

主人公 長谷川ユカリについて思う事

どのキャラも魅力的ではある。しかしその中でもユカリが好きなのは「強さと弱さを持ち合わせている」点が非常に良いからです。チサトは精神面では非常に強く感受性も豊か、ミカは行動力の塊である。

ではユカリは何が強いのか、それを考えた時にこの二人のような特別な強さは持っていないという風に自分は感じています。

「時にはチサト以上に感受性が強く、時にはミカ以上に行動力がある」

ユカリは普通なんです。至って普通。家庭環境に悩んでいたり、学校生活で見え隠れする人間関係に辟易していたり、その一方で自分を理解してくれていると信じる人に依存していたり、誰もが抱えているようなものを持っているのがユカリです。一人になりたい、けど孤独にはなりたくない、現実主義者と自分では言っていても実際にはロマンチストであったり、ちょっとした事で落ち込んだり苛立ったり。二人に比べると人間臭さが強いんです。

誰かへの想いに対しては二人以上に強く反応し、心を痛めたり、その想いを踏みにじるような相手には怒りを向けるなど、普段の様子からは見られない部分が見えてきたり、大事な人の為に後先考えずに行動したりする事もあるのが良い。

チサトのような分かりやすい優しさやミカのように真っ直ぐな好意を向けたりはしないけど、そういったものをしっかりと持っているユカリ。

気の強い人の印象は、最後の噂を終えた時に全然違うものになる。

だから自分はユカリが好きなのです。

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