ミリオンライブの魅力的な劇中劇。その一つであるラビットシティを紹介しつつミリオンライブがいかに劇中劇に本気かというのを語る記事です。

　獣人たちが暮らす街ラビットシティ。そこではバニーポリスと犯罪組織の熾烈な戦いが続いていた。複数の組織、そして強大な力を持つ月の宝。暗躍する怪盗団月兎隊、異能者たち。混沌そのものである街に平和は訪れるのか。

　ミリオンライブというコンテンツ内で展開される同じ町を舞台とした複数の物語。その総称をラビットシティと呼ぶ。並走する複数の視点で物語は紡がれ、時に交わり、ぶつかり、更なるドラマが生まれていく。アメコミのクロスオーバーや群像劇と呼ばれる物語形態をイメージして貰えるとわかりやすいだろうか。この様にミリオンライブは劇中劇のスケールを広げ、長期にわたって展開していくという挑戦的な試みをしているのだ。長編ストーリーはラビットシティ以外にも複数存在するが今回はラビットシティにフォーカスしその魅力を伝えていこうと思う。

　まず、この劇中劇の成り立ちから語っていこう。初出となるのは「その正体は……！？　ラビットガールガシャ」である。カードイラストの背景設定として獣人たちが住む町、ラビットシティの平和を守るバニーポリスと自警団のバニー団の存在が描かれた。ここではあくまでカードのフレーバーであり本格的に展開されることは予想されていなかったがその世界観に魅了されるものは多かった。ラビットシティを舞台とした長編ストーリーが描かれたのはイベント「シークレットジュエル～魅惑の金剛石」である。イベントコミュ内で同曲の世界観を描いた劇中劇が展開された。ラビットシティを舞台に不思議な力を持つ月の宝を悪人から盗みだす怪盗団月兎隊の活躍を全八話（プロローグとエピローグは含まず）にわたって描くそれは通常のイベントコミュより話数が多く物語に複数の視点を内包するプラチナスターテールという方式であり、ミリシタ内の劇中劇でも特に力の入ったものである。

　とまあこのようにガシャの背景設定から好評を受けて長編ストーリーへの大出世を遂げたということである。本来ならこれでもすごいことだが、なんとこの先があるのである。

　その後、有料配信のミニライブ「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! SEASON @IR!」のトークコーナーで同世界観を舞台とした朗読劇が行われ、バニーポリスと月兎団のクロスオーバーと新たな勢力、シンジケートの存在が明かされた。そう、この簡単なあらすじだけでわかる通り続編を展開する気満々なのである。そしてミリオンライブは割と宿題はちゃんとやってくれるタイプである。その後、ミリマガの別冊付録で月兎隊の一人ディーディーにスポットを当てたスピンオフを掲載した。

　そして先月、ミリオンリンケージという限定ガシャでラビットシティをモチーフとしたカードを実装した。ラビットシティがミリシタに戻ってきたのである。そこでは最初のカード背景や朗読劇にも登場したバニーポリスのメグミと新キャラであるシンジケートの戦闘狂ウミとのライバル関係、壮絶な戦いが描かれた。だけではない。今年のエイプリルフールイベントでミニゲームと共にシアターアイドル５２人分のラビットシティのストーリーにおける役名とプロフィール、セリフテキストが実装されたのだ。また、ミニゲームをクリアすると新たなストーリーが解放されるようになっていた。そしてその内容も、リンケージガシャで示唆されたストーリーを受けさらに発展し町全体を巻き込むような抗争へと続くストーリー。そう、まだ続くのである！　これまで登場したバニーポリス、バニー団、月兎隊、シンジケート、それらに属さないマフィアや一般人など多くの勢力や個人を巻き込んだ一大サーガが現在進行形で紡がれているのだ。ゲームの内外で展開する壮大なストーリーをリアルタイムで追いかけられるのはこの時代を生きる私たちの特権である。まだ追いつける！　

　ラビットシティのストーリーは５２人が絡み合う複雑なストーリーだが、とりあえず主だった勢力とその中の中心人物を追っていけば大筋は理解できる。できるなら５２人全員紹介したいがとてつもない分量になってしまうので今回は何人かに絞って紹介しよう。名前は月兎隊以外アイドルと同じなので覚えやすい。

　ラビットシティの平和を守る秘密捜査隊である。主だった人物は

　普段はカジノのディーラーだがその正体はバニーポリスの隊長である。穏やかな笑顔だが部下からは鬼の隊長と呼ばれ、笑顔のまま圧を放ってくる。SSRカードではディーラーの姿とバニーポリスとして戦う姿が描かれる。

　バニーポリスの副隊長。直観で動くタイプで突っ込み癖をカレンに叱られている。デカレンジャーで言うとバン、SPECで言うと瀬文、GOTHAMで言うとゴードンである。シンジケートのウミに目をつけられている。SSRカードではウミとの邂逅と戦いによって傷ついた姿、そして決戦の場面が描かれている。

　町で一番の勢力を誇るマフィア。武闘派でありムキムキの兎の獣人が多い。なわばりを守るためシンジケート相手にバニーポリスと共闘することもある。

　バニー団のボス。自ら前線に立ち薙刀をふるう強者である。他のマフィアが手を組み相互組織を組もうとしているのを快く思っていない。バニー団なりに町の平和を守ることを目的としており、シンジケートとは敵対している。SSRカードではアジトでくつろぐ姿と出入りの姿、ウミSSRの背景でバニーポリスと協力しシンジケートと戦う姿が描かれる。

　その他マフィアには複数の組や派閥があるが割愛する。

　月の宝をすべて手に入れ古代文明の力を独占しようとする勢力。その力によって全ての種族をまとめ上げるのが目的。手段を選ばず、破壊行為や人を殺傷することも厭わない。

　シンジケートの首領。その頭脳で曲者ぞろいのシンジケートをまとめ上げている。戦闘能力も高く、イラスト内ではバニーポリスのアンナとツバサとバニー団のユキホの三人を同時に相手取っている。

　シンジケートの鉄砲玉。戦闘狂であり自分が認めたメグミを付け狙う。組織への忠誠心も薄く、ボスにもため口をきき、マフィアを仲違いさせる為も策を弄することを一蹴し全員殺せば結果は変わらないと宣うなど制御できない暴力性を持つ。一方でメグミとの戦いを楽しむためあえて逃がしたことで組織内での立場が危ういことも描写されている。SSRカードではメグミとの邂逅と決戦のシーンが描かれる。

　世間を騒がす怪盗、その正体は強大な力を持つ月の宝を悪人から盗み管理する義賊である。犯罪者ながらもその活躍からヒーロー視する者もいる。

　月兎隊のリーダーでお嬢様。両親の死をきっかけに過ぎた力は管理し悪人の手に渡らないようにしなくてはならないと考え、怪盗団を結成した。月の宝によって超人的な力を得ている。GOTHAMで言うとブルースおぼっちゃま。月の輝きすらも手に入れる、パーフェクトレディことレディ・Iと、チーム・ラビッツという名前を提案したがメンバーからは不評であり、世間からも月兎隊と呼ばれ名称が定着しつつある。

　イデアルの家に使える完璧執事。GOTHAMで言うとアルフレッド。諜報を得意とし、月の宝を使ってあらゆる電子情報に接続できる。他にも情報提供者を複数抱えており、その中に裏切者がいるのも知ったまま泳がせている。混沌とした街の状況を俯瞰する人物であり、事件の真相に近い立場にいる。

夢に干渉する能力を持っており、月の宝によって増幅されれば見た夢を現実にすることも可能。獣人の中でも珍しい能力を持っている。

　爆発の能力を持つアタッカー。クールで月兎隊の中ではツッコミ役が多い。月兎隊の名前を提案した。

　月兎隊の新人。まだコードネームがないためナナシと呼ばれている。

とまあこんな感じだ。月兎隊に関しては描写が多いためメンバー五人分描いたが、話をけん引するのはイデアルなのでとりあえず月兎隊の話ではイデアルが主人公でそれを中心として見ていけばいい。

　超常的な力を使用者に与える古代文明の秘宝。月兎隊はこれを回収し管理することを目的としている。また、勢力拡大の為にマフィアやシンジケートもそれを狙っており、争奪戦が予想される。どの勢力がどの宝を持っているのかという点は力関係に大きく影響する。

　月の宝の中でも最高位の力を持つもの。

　ラビットシティに住む動物の特徴を持つ者たち。うさぎが多いが他の動物も存在する。また、獣人の中には特殊な能力を持つ者もいる。

　このように、壮大なサーガを描いているラビットシティのストーリー。これらが成立するのは劇中劇の供給が手厚く、ロングスパンで展開してくれるミリシタのスタイルがあってこそである。そして、ここでも一人も手放さないの精神がある。５２人のキャラクターを登場させ、密接に絡み合う物語を形成するのは並大抵のことではない。それを可能にするにはずっと５２人であることを根幹に据え、一人も手放さないという覚悟を掲げてきたミリオンライブというコンテンツの精神とそれを通す中で培ってきたノウハウなのである。シェアードユニバースであり群像劇であるミリオンライブを積み重ねてきたからこそ、この劇中劇はあるのだ。それだけではない！　ラビットシティ以外にも５２人全員が登場するストーリーは存在する。ミリオン女学院、ミリオンマグス魔法学園、アイドルヒーローズ、ミリオンアーマー。多種多様なジャンルでそれを展開し、今でもそれらが続いている。その中にはきっと好みに刺さるものがあるだろう。もし興味が湧いたなら、飛び込んでみて欲しい。掘っても掘り尽きない物語の鉱脈がそこにある。ミリオンのＰには劇中劇を熱心に追っているファンも多く、新規には優しい。この記事のように、いやもっとわかりやすく情報をまとめてくれているものもある。聞いたら概ね答えてくれる。ＦＡもそれなりにある。入りやすい土壌はすでに整っているのだ。あとは飛び込むだけだ。

　私は海外ドラマとかが好きなのでラビットシティはかなり刺さった劇中劇だった。何度か例に出したGOTHAMとかは特に近い雰囲気なのでそういう人に届けばいいなと思ってこの記事を書きました。

　あとなんか企画終わっても記事書くのは続けたいなと思ってネタを温めておいたのもあります。分量的に結構なものになる気もしたので。ミリシタの記事がもっと増えることを願って。

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