とあるオールド競馬ファンがウマ娘にハマってしまった話。

あの名馬が走り続ける夢を見る

そもそもスマホゲームをする気がなかったんですよね。

何故かというと”間違いなく時間を溶かすから”。

おかげさまでたっぷり時間をかけてプレイしていますし、なんなら無課金でもグーレトリーグＡ組決勝で1位になれたこともあるくらいハマってます（わかる人にしか分からない自慢）。

ま、そんな自分の話は置いといて。

このゲームにハマった理由にゲームシステムだったりと他にもあるんですが、一番大きな要素は

「あいつが、あの子がまだ走っている」

って感じれることにあるんじゃないかなって思ってます。

このゲームに走っている馬ってもちろん現役の馬じゃなくて、昔活躍した馬たちで、もちろん中には今も元気にしている馬もいるんですが、すでにこの世にはいない馬も数多くいます。

さらにはレース中に競馬場で散っていった馬たちや、道半ばで去っていった馬たちも数多くいるのです。

サイレンススズカ（異次元の逃亡者）

今回は特に推しウマの一人（あえてはここでは一人）、サイレンススズカについて語ってみたいと思います。

そのモチーフになる馬は分かりやすく言うと、『世界最速の夢を追った馬』でした。

競馬に詳しくない人に向けて二つ書きます。

一つはいま日本は世界の競馬界でもトップクラスの国となりました。

しかし、いまから２０年前、３０年前はまだ世界で通じる馬がやっと出てきたくらいの頃でしたし、まだまだ世界への挑戦は遠く見える頃でした。

だからこそ、世界に挑戦できる名馬の到来を競馬ファンは待ち望んでいました。

そしてもう一つ。競馬という競技はシンプルに言えば『誰が一番速く走るか』を競うわけですが、短距離走でありません。距離は１０００ｍから長いもので３６００ｍ。特に２０００ｍを超えたレースでは全力で走り続けるのは極めて困難と言えます。

そんな中、２０００ｍの距離を全力で走り切ることができたのがサイレンススズカでした。スタートから先頭に立ち、そのまま影を踏ませないスピードで走り抜け勝利をつかみ取る、ゲーム内でも異次元の逃走者なんて二つ名で呼ばれています。

このように書くと、いかにもこの馬が大活躍をしたような想像をするかもしれません。しかし、それは半分は正解であり、半分は不正解です。

サイレンススズカはもちろん、日本国内の大きなレースを勝ったことがあります。そのときの勝ち方も堂々としたものでした。

しかし、サイレンススズカは結局、日本国内から出ることはありませんでした。

天皇賞（秋）というとある大レースがあります。名前のとおり、天皇陛下の前で天覧試合が行われることもある伝統的なレースです。

このレースにサイレンススズカも出走しました。

１番人気馬であっても滅多になることのない倍率。

分かりやすく、「90％以上の人がサイレンススズカが勝つと信じた」と言い換えてもいいでしょう。

そんな中でサイレンススズカは人気通り、堂々の競馬を見せます。

レース半ばですでにぶっちぎりの状況。これはもうどのくらいレコードを更新してサイレンススズカが逃げ切るのか、それだけを競馬ファンが注目しだした、その時でした。

文字で書いても分からないと思います。しかしこれは競走馬にとっては言葉通りの致命傷となります。体の大きな馬にとって、歩けないことと死は直結します。

多くのファンが見守る前で、サイレンススズカは安楽死の処置がとられました。

サイレンススズカの命が散った瞬間は、同時に多くの夢が散った瞬間でもありました。

このときの感情は競馬ファンでなければ想像は難しいかもしれません。

世界に日本の競馬の強さを示すと信じられた馬、その最期としてはあまりに悲しい姿でした。

しかし、ウマ娘の中ではサイレンススズカは生きています。

ゲームの中では無事に天皇賞（秋）を走り切り勝利し、アニメの世界では怪我を乗り越えて世界に羽ばたいています。

これは間違いなくファンが見たかったIFの世界の一つだと言えるでしょう。

あの世界ではサイレンススズカは走り続け、きっと多くのファンに感動を与えたことでしょう。

そんな名馬を自分の手で最強により近づけることができる、これは自分にとって魅力的な要素でした。

さらに言えば、このウマ娘というゲームは、各所に実際にあった出来事をゲーム内のイベントとして組み込んできます。

知っている人には些細な出来事でさえ「あーそういえば、そんなことあったな」と懐かしむことができます。

もちろん、ゲームの楽しみ方は人それぞれです。

ゲームシステム自体もとても面白いですし、いわゆる周回ゲームというもので、同じ世界を何回も繰り返しつつ、戦略を練り、運などを味方につけて最強を目指します。

ときには自分の推し馬ではない馬を勝つために懸命に育てて、気が付いたら推し馬になっているなんてこともあります。

最後に　そして明日も続いていく

競馬の世界は今でも続いています。

まだ実装されていない名馬もたくさんいます。

つまり新たなウマ娘の誕生もまだまだ期待することができるのです。

ちなみにウマ娘を通じて競馬に興味をもち、実際の競馬のファンになってくださった方も多くいらっしゃるようで、ゲームのファンとしても競馬のファンとしてもうれしい限りです。

もちろんその本質はギャンブルです。正しく楽しめない方が悲しい結果になることも、間違いなくたしかにあります。

しかし、一つのスポーツとしてまた娯楽として楽しむことができる世界でもあります。

是非、ゲームとしてのウマ娘を楽しみつつ、ほんの少し、実際の競馬の世界にも触れてもらえると、新たな楽しみを感じることができると思います。

「かつての夢」に「これからの夢」に少し触れてみませんか？

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