冥賀小夜日さんの枠でポーカーを覚えた方々のために、段階的に強くなるための指標をご紹介します！

　この記事は、以前公開していた戦略資料集「ポーカーチェイスで勝つために」のリメイク版になります。こちらのブログ企画で執筆したポーカーの資料の好評を受けて、一部公開することにしました！

　オリジナルの資料「ポーカーチェイスで勝つために」では戦略の深さ別にLv.1からLv.5までありますが、そのうちLv.2までをこちらで公開します。Lv.3以降の戦略が気になる方、ポーカーは理論と実戦のバランスが大切です！ぜひ冥賀小夜日さんのチャンネルを登録して頂いて、実戦経験を積みましょう！

　過去の記事でも述べましたが、最初に身に付けるべきは「シンプルに戦う技術」です。そのためまずは強い制約をかけて戦い、自分の思考量を減らして相手の観察に全力を注ぎましょう。

・BB以外からのコール封印戦略

　これは過去の記事でも述べたので詳細省略します。プリフロップの段階からガンガンレイズしていきましょう。2.5倍以下のレイズが推奨される状況というのはほぼないので、3倍を中心にゴリッゴリに高いレイズをしていきましょう。

　前の人が誰も参加していない時に自分からレイズして参加するハンドについて、世界中のポーカープレイヤーが様々な研究をしているのですが、ここでは扱いづらいハンドをごっそり削って、覚えやすく使いやすいと思われる基準を紹介します。

を確認してください。以降、BBの左隣から時計回りにUTG（アンダーザガン）、HJ（ハイジャック）、CO（カットオフ）、BTN（ボタン）と呼ぶことにします。ポーカーチェイスだとちょうどBTNの位置に謎のDマークが置かれているはずです。

　BTNからレイズするハンドの基準は以下のようになります。

これを表にすると以下のようになります。以下では略記法を用いており、小文字のsは「マークが揃っていること（スーテッド）」を、小文字のoは「マークが違うこと（オフスート）」を意味しています。またTは10のことです。

このように、この基準を表にするとA7oから階段状に上がっていき、マークが揃っていればA6sから、数字が揃っている時は55からと基準が1つずつ緩くなっていくため、「BTNは7」と覚えてもよいかもしれません。

　BTNから遡るごとに1つずつ基準を絞っていきます。COから参加するハンドは6のペアか22点以上、すなわち「A8o/A7s/66」以上、HJからは「A9o/A8s/77」以上、UTGからは「ATo/A9s/88」以上で参加します。SBは例外的にBTNと同じ基準で参加することを推奨しますが、シンプルに1つ緩めても構いません。

　レイズ額はBTNまで2.5BB、SBからのみ3BBを推奨します。状況次第で額を変えてもよいですが、レイズ額を下げると複数人の戦いになりやすく難しくなりやすいので、よほどのことがない限りレイズ額は（かなり極端に）上げる方向に調整することが多いかと思います。

　次に、BBからコールするハンドの目安を紹介します。まず、既に2人以上参加している時はリレイズorフォールドしましょう。フロップ後の戦い方も含めて考えると、自分から複数人の戦いにするのが最善なことは滅多にありません。

　参加者が1人だけの時は、基本的に相手がレイズするハンドに合わせるのがよいでしょう。例えば相手がBTNなら「A7o/A6s/55」、相手がHJなら「A9o/A8s/77」が目安になります。ただ、ポケット（数字が揃ったハンド）とスーテッドハンドはかなり広げてもよく、戦いやすいと感じる範囲で広くコールしても構いません。一例として、間が2つまでのスーテッドハンド、すなわちT7s/96s/85s/74s/63s/52sまではうまく戦える範囲でならコールしてもよいでしょう。

・コンティニュエーションベット（CB）

　これも過去の記事でも述べた戦略になります。詳しく述べると概ね以下のようになります。

　・フロップカードのマークが全て揃っている時は打たない

　・フロップにJ以上がある時は1/3ベットする

　・揃った数字がある時も1/3ベットする

　これは逆の立場で考えてほしいのですが、相手からターンで1/2ベットされた時と1/3ベットされた時で、コールするハンドはほとんど変わらないのではないでしょうか？特に、あと1枚でストレートやフラッシュが完成するハンドを持っている時、1/3ベットと1/2ベットでフォールド/コールの判断はほとんど同じではないでしょうか？これはつまり自視点に戻って考えると、自分が強い時に1/2ベットをすると引かれるリスクが変わらず危ないままで、自分が弱い時に1/2ベットをすると降ろせるハンドが変わらず危ないままと、リスクだけが大きなアクションになります。

　なのでターンでは1/2ベットをせず、1/3ベットか、ポット弱以上の大きなベットかにしましょう。スタックが残り少ない時は、いっそオールインを検討しましょう。

　自分が難しい判断を避けるべきということは、逆に言えば相手には難しい判断をさせるべきということになります。相手に最も悩ませるために、特にターン以降は

中途半端なハンドのベットは絶対に避け、

非常に強いハンドと非常に弱いハンドで高いベットをして相手に選択を迫るのが有効な戦術になることが多いです。

　最も典型的な戦略を1つ紹介しましょう。打つボードは以下の条件を満たすボードです。

　・同じマークが2枚まで（フラッシュが存在しない）

　・1枚ストレートが存在しない

このような何もないボードでは、単純にトップヒットのワンペアが相対的に十分強いです。ですので、以下のような強いハンドと弱いハンドでpot前後ベットしてみましょう。

　・強いハンド：トップヒットJキッカー以上

　・弱いハンド：ノーヒットのガットショット（あと1枚でストレートが完成するハンドであり、欲しい数字が1種類だけのもの。2356など）

実際はベット額はもっと高くてもOKです。詳しく知りたい方は以下の表をご覧ください。

　この戦略で相手が極端に降りてしまう場合は、逆に「降ろせるんだったらブラフ打ちまくってもいいよね」と考えて、強い側のハンドの基準は変えずに弱いハンドを大量に混ぜまくりましょう。

　うまい人同士の駆け引きならともかく、相手が初心者のときリバーは降りられないハンドを持っていることが多いです。なのでいっそのことブラフを諦めて、ツーペア以上の強いハンドでのみベットしてみましょう。もちろんブラフがないことが相手にバレたら降りられてしまいますが、その時はその時で臨機応変に戦略を変えてみましょう。

　ある程度スタックが減ってくると、フロップでほぼオールインみたいになってしまい、判断が難しくなりがちです。ですので、いっそのことプリフロップの戦略をガラリと変えて、いきなりオールインするかフォールドするかの2択にしてしまいましょう。戦略を切り替えるスタックの目安は12〜18BBです。自分が最も判断を誤りにくいタイミングで戦略を切り替えましょう。

　オールインするハンドの目安は、実はポーカーチェイスのオススメ通りでだいたいOKです。便利な機能ですね。詳しく知りたい方は「パワーナンバー表」などで検索してみてください。

　Lv.2ではLv.1より高度な戦略を用いて、典型的なプレイヤーやLv.1戦略で戦っているプレイヤーをまとめてなぎ倒す方法を紹介します。

　プリフロップで最も重要なことは、降りた後に同卓者の戦略を観察することです。相手の戦略を推定して、それに対するカウンターを事前に考えておいて、その相手とぶつかった時のために備えておきましょう。

ベットされてから悩むようでは遅い

と考えておきましょう。事前観察は他人のチップを使って行い、いざベットされた時に悩まずに済むように準備しておきましょう。

　Lv.2になったらプリフロップを一気に広げてみましょう。採用するレンジは正直なんでもいいです。計算されたレンジでも、有名プレイヤーが作ったレンジでも、自己流レンジでも、自分が戦いやすいと感じるレンジで戦うのがよいと思います。参考として1つプリフロップのレンジ例を紹介します（SBオープンはBTNオープンと同じ範囲）。

プリフロップレンジ

　プリフロップで既にオープンしている人がいる時に、さらにレイズを返すことを3betと呼びます。勘違いされがちですが、

決して3倍レイズのことではありません

。3betはポットを膨らませると共に大部分のハンドを最初から降ろしてしまうことで事故を防ぎ、自分の強いハンドでより安全により多くのチップを稼げるようにする非常に強力な戦略です。しかしながら一般に計算された3betレンジは複雑な構成になっており、覚えるのがとても大変です。

　そんな3betの参考に1つレンジを紹介します。ひとまずこのレンジを参考にして打ってみて、理論と実戦で戦略を磨いてみてください。

3betレンジ

　レイズ額は、SB/BB以外からは3倍、SB/BBからは4〜5倍が基本になります。コール参加している人がいる時はさらにレイズ額を上げましょう。また、スタックが30BB以下の時は一撃オールインでよいと思います。

　相手の推定レベルがLv.1以上のとき、CBには十分なブラフが含まれています。なので、こちらも広くコールして対抗していきましょう。とはいえ発展性が皆無だったり発展したところで強さが期待できないハンドはフロップ時点で諦めて十分です。以下の基準を目安にコールしてみましょう。

最後の基準は少し複雑ですが、例えば以下のようなものです。

このハンドはスペード2枚引ければフラッシュになり、例えばQ,9と引ければストレートになります。しかも、ストレートになる目はA,Q/Q,9/9,8の3通りあり、どのように完成しても最強のハンドになります。このような発展性のあるハンドの中で特に都合のよいものでコールしてみましょう。

・横槍コールが入っている時のCB

　よほど深く勉強した人でない限り、横槍コールしてくる人のほとんどは「Aを持ってるか、2枚とも絵札か、ポケットペア」のことが多いです。このような場合、相手がKやQを持っている確率は20%すらありません。ですので、フロップでKやQが最高カードの時は積極的にCBを打ってみましょう。

　Lv.2で変化するターン戦略はありません。相手をよく観察し、フィールド全体のプレイ傾向や、対戦相手のプレイ傾向に合わせてアクションを調整する技術を身に付けましょう。

　Lv.2で変化するリバー戦略はありません。相手のブラフが少ないと予想したら積極的に降りるなど、相手に合わせた対応をしてみましょう。ちなみに一般的に相手のブラフを疑ってコールするかどうかの目安は、ざっくり相手のブラフ率が40%を超えている時と言われています。それくらい疑わしいと判断した時だけブラフキャッチを試みてみましょう。

・ICMを考慮したオールイン/オールインコール戦略

　特にランクマッチやシーズンマッチ等では、極端すぎるほど降りておきましょう。実はポーカーチェイスのオールインオススメ表示は

1位総取りの時の最適アクション

であり、1位狙いのフレンドマッチならともかく2位以下でもポイントがもらえるランクマッチ/シーズンマッチ等では最適アクションから

しており、一般にオールインする側は極端に広く、オールインを受ける側は極端に狭くするのが正しくなります。なぜなら、1位総取りの時と比べて2位以下にポイントが出る場合は生き残ることの価値が高くなるため、生き残るためによほど小さなオールインでなければほとんどコールできなくなり、逆にコールされなくなる分オールインする側はとてつもなく広くオールインできるようになるからです。

　細かく記述すると非常に長くなってしまうため、一例を示します。ステージ6で6人全員12BB持っている時、BTNからオールインがオススメに出るレンジは「ポケット全部、A全部、KXs全部、K3o以上、QXs全部、Q8o以上、J7s以上、J8o以上、T5s以上、T8o以上、95s以上、98o、85s以上、87o、74s以上、64s以上、53s」、全ハンドのうち52.9%でオールインを推奨されますが、ポイント配分を考慮した上での実際の最適オールインレンジは98.2%、72o以外全部でオールインするのが正しくなります。また、そのとんでもなく広いBTNのオールインに対してさえ、BBの理論的なコールレンジは「6ポケ以上、A9s以上、ATo以上、KJs以上」と極めて狭いものになります。とにかく

鉄の意志で降りておきましょう

　ここまで来たあなたが身に付けるべき技術は、相手に一方的に難しい判断を迫る技術です。項目だけ紹介します。

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